地方の県にノリで引っ越しちまったもんだから、その県で仕事を探していた。
地元の企業を2社受けて、落ちた。
いけ好かない奴に、ダメだと言われているようで、自信が全くなくなった。
こんな奴にダメだと判断されるのだから、よっぽど私はダメなんだろうと。
そして、夜の店のママには、夜一本でやってみたらどう?あなたなら才能があると思う。と言われて、一瞬その気になった。
でも、毎晩出勤して、お客様に気に入られて、この子は良いと言われる、それでも私はどんどん自信を失くしていった。
私にあるのは、中身ではなく、この外側の中途半端な見た目だけなのかと。
それが果てしなく嫌だった。
ずっと人に認めてもらいたいと願って生きてきたけれど、そこで、ああ私が認めてもらいたかったのは、外面でなく、内面にある何かなのだと感じた。
そこで、今度は都内の企業に向けて就職活動をしてみた。
馬鹿みたいに受かった。
というよりも、大手企業がまさかの当日内定を2社出してくれた。
確かに、良い大学を出た。
起業もしたし、今では有名な中小企業となっていた。
離婚したことも話した。
それでも、だからそんなに落ち着いているのだねと、プラスに見てもらえた。
地元の中小企業を受けた時には全くなかった反応であった。
正直びっくりした。
そして、内定後に受けて欲しいと言われていたSPIをしぶしぶ受けた。
ああこれで内定取消しかなってくらい出来なかったように感じた。
そしたら、今日、受けた会社の親会社の人事部から電話があって、すぐにでも会いたいと言われた。
腑に落ちなかったけれど、あとで担当者よりメールが来て、平均を優に超える結果だったようだ。
そして、明日、誰もが知っているあの会社の本社に行くことになった。
人生はわからないね、本当に。
彼らは、私が田舎のクラブで働いているのかは知らない。ただ、私を評価してくれているのだと嬉しくなった。
自分自身を評価するのは、自分ではないのだと切に感じた。
また、今の自分の環境における、周りの人々が私に対してする評価も、ただのひとつの評価なだけであって、正しいとか、大多数の評価なのだとか考える必要がないことにも気づいた。
大海に出てみれば、新しい評価基準が待っているのだと。
自分を過小評価する必要は全くないのだと。