Way to be HAPPY

Life is a Journey

カミーノ巡礼 26日目

26日目

Pamplona滞在 2日目。

今日は、朝も早よから6時にはたたき起こされ、たったの3時間睡眠のかなり眠たい状態で幕を開けた。

何故なら、Yさんの友人のTさんが「牛追い祭り」に参加するからである。

牛追い祭りとは名ばかりで、本当はほとんど牛に「追われている」祭りである。

参加予定者は、朝の7時半までにスタート地点の市庁舎へ到着しなければならず、家から市庁舎まで歩いて約40分かかるため、ものすごく急いでいた。

結果的に途中でバスに乗ることができたので、無事に時間内にたどり着くことができた。

この牛追い祭りでは、市庁舎からスタートして、約800mの距離を牛とともに走り、(たまに牛に角でぶっ刺されながら)闘牛場まで走っていくという儀式が約2週間毎朝繰り返される。

それに、Tさんは参加するのだ。

そして、すでに日本人で牛にやられた負傷者は、2名も出ていたので、Tさんは朝からかなりナーバスな表情であった。

もはや笑顔も、かなり引きつっていて、空元気の模様。

私たち3人は、闘牛場のすぐ前の道で彼が牛とともに駆け抜けていくのを見るために場所取りに向かった。

が、しかし時既にに遅し、でものすごい人数の祭りを見たいという人々によって、柵は既に陣取られてしまっていた。

隙間から見ようとするも、前の人が邪魔でなかなか見られない。

そんなこんなで、1度目の鉄砲の音が鳴り響き、牛追い祭りがスタートした。

牛は思ったよりも早く、スタートして10分足らずで全ての人々と牛は闘牛場に到着し、2度目の鉄砲の音で終了した。

その隙間からでも、牛がものすごい勢いで走り込んで来るのが見えて、圧巻であった。

当日は、朝から小ぶりの雨が降っていたので、石畳で出来ている市街の道はとても滑る。

人間はおろか、牛も数頭濡れた石畳にツルッとやられ、すっ転んでいた。

目の前で巨大な黒牛がすっ転んでいる姿は圧巻としか言いようがなかった。

そして、ものすごい牛臭というか、家畜臭があたりいっぱいに充満した。

意外と臭かった。

そして、一生懸命走っていた牛たちはこれから滅多刺しにされ、殺されていくということを思うと、悲観的な気持ちになった。

Tさんは、心配とは裏腹に、五体満足で戻ってきた。

私たちは、Tさんがやられてしまうんじゃないか、ととても心配していたので、心から安心した。

Tさんも、参加するとは言ったものの、日本人負傷者のニュースを聞いてものすごくナーバスになっていたので、ようやく牛追いが終わって心から安堵しているようであった。

そして、みんなで牛追い祭りの銅像の前で記念撮影をして、家へと戻ることにした。

昨日から、3時間していな私たちは、非常に寝不足だったのだ。

帰る途中のバルで、朝ごはんを食べることにし、

何故か朝の9時からトルティーヤ(スペイン風オムレツ)にビールをかっくらった。

昨日から、ほとんど食べていなかった私はものすごい空腹だったので、久しぶりに食べる食べ物はとても美味しく感じた。

私の不思議な思考の癖なのだが、空腹が長時間続くと、だんだん不安になってきて、1度食べ物にありつけると、安心したいがために食べまくりたい衝動に駆られる。

この日本や、スペインで食べ物にありつけないということはないのに、その激しい焦燥感を感じる自分をとても不思議に思う。

それから近くのスーパーに買い出しに行き、ビールを山ほどと、おつまみもやまほど買って、無事に帰宅した。

帰ってすぐ、シエスタ(昼寝)をするかと思いきや、みんなまた元気を取り戻してしまって、昼間からビールをあおりだし、挙げ句の果てにワインにまで手を出し、つまみを各々作って、酒盛りが始まった。

え?寝ないんかーい!!

というツッコミを心の中で10回くらい入れたのは内緒である。

そして、私もみんな寝ないならと、先ほどからの食への不安を払拭するために、Yさんちの米を大量に使用して、ご飯を炊き始めたのであった。

3合ほどもご飯を炊いてしまい、みんなビビっていた(笑)

そして、久しぶりの食べたくて仕方なかった米を1人で1合近く例のごとく食べまくり、満足した。

日本にいる時よりも確実に食欲は増しているし、胃袋の容量もかなり増量中なのだと思う。

みんなはあまり食べない中、1人で食いまくっていた。

そりゃあこの旅で痩せないわけである。

消費カロリーを軽く上回る量のカロリーを摂取してしまっているのだから。

それから、みんなの酒盛りは続き、私は耐えられなくなって昼寝を1時間ほどした。

私が寝ている間でも、みんなは寝ることもなくひたすら話し、歌い、盛り上がり続けていた。

途中で目覚めた私は、3人がとても楽しくしているのを見て、少しだけ疎外感を感じた。

昨日出会ったばかりの2人と、2週間前に出会ったばかりの1人、ではあるが、私も同じくらいの親密さで仲良くなりたいと心から願った。

ちょっと寂しかった。

それでも、私が起きるとみんなは私を仲間に入れてくれて、4人でまた楽しくYOUTUBEの音楽動画を見ながら、歌い、笑い、楽しく過ごした。

そんな中、とても私の心を動揺させる事件が起きた。

事件というほどでもないのだが、元夫の会社のFACEBOOKをたまたま見てしまったのであった。

みんな思い思いに携帯を見たり、pcを使ったりしていたので、私も携帯をいじっていた。

そんな中、たまたまFACEBOOK上にお知らせが出て、ついついリンク先に飛んでしまったのが原因だった。

そこで見たのは、会社の全員の従業員が映し出されている写真。

そこには、ものすごい美人が写っていた。

最近の写真から写り出していたので、最近雇った社員だとは思うが、非常に美人であった。

私よりも若いだろうし、私よりも髪が長く、私よりも小顔で、私よりも細くて、私よりも…美人だった。

他人と比べない、そのことを学びつつあったのだけれども、その自分のルックスへの信頼はすぐに崩壊した。

何故、人は人と自分を比べたがるのだろう。

何故、私は、人と自分のルックスを比べてしまうのだろう。

答えなんて見つからないが、その事実はかなり衝撃的であった。

なんだかもうカミーノも、いろいろ馬鹿馬鹿しく思えてきてしまったほどだ。

そして、こんな美人を雇った元夫を心から恨めしく思った。

きっととても美人だから、彼女になびくのではないか…そういうくだらない発想が何度も何度も頭をよぎった。

自分では、見た目も大事だけど、中身の方がもっと大事だなんて思っていたけれど、結局こうやって自分よりも見た目が良い女性が出てくると、途端にその思想は音を立てて崩れ落ちてしまうのだった。

そんな自分が大嫌いだった。

それでも、私の様子が少し変だと気付いたTさんは、

「タバコ吸いに行く?」

と私を誘ってくれて、外に連れ出してくれた。

別に、「どうしたの?」と聞くでもなく、ただただ私を笑わせてくれて和ませてくれるTさんの存在をとても有難く思った。

きっと神様は、こういう状況になると分かっていたからこそ、彼らと一緒に過ごさせてくれたのかも知れない、そう思う程だった。

そして、少し元気が出た私はまた笑顔で部屋へ戻って、みんなと楽しくワイワイし始めることが出来たのであった。

そして、数時間ほどダラダラ過ごしたところで、TさんとK美さんが買い物をしてくると、近くのスーパーへと向かった。

そこで、スペイン在住のYさんと2人きりになった時に、

「どうしたの?」

と聞いてくれた。

もごもごしていると、

「え、これって聞いた方が良いやつ?それとも聞かない方がいいやつ?」

と聞いてきた。

私は、少し考えた。

話して相談に乗ってもらいたい。

でも、そのことを話すにはまず、離婚していること、元夫と複雑な関係にあること、その他もろもろを話さなくてはならない。

しかし、今はどうしても知られたくなかった。

なので、「説明するのに1日かかるから…」と私は逃げた。

そうしたら、Yさんは「オッケー」と二度とその話題を出すことはなかった。

でも、私がiphoneを見てから様子がおかしくなっていることに気づいているYさんは、

「そんな携帯ばっか見てるから嫌なことが気になるんだよ。せっかくスペインに来てカミーノしてるんだったら、日本のことなんて忘れて楽しみなよ。そんなに携帯ばっか握りしめてないでさ。」

と言った。

確かにその通りだと思う。

せっかく海外に来て、自分を変えるためにカミーノに来ているのに、いちいち携帯を見て、日本と繋がって、嫌なものを目にして落ち込んでるなんて非常にナンセンスだと思う。

だから、もう携帯を握りしめて、ラインのメッセージを見るのも、FACEBOOKをいちいち見るのもやめようと思った。

残りの日々は、いちいちWi-Fiにつなげて日本とコンタクトを取ることは止めにしよう、そう心に誓ったのである。

そう言うと、Yさんは爆睡し始めた。

もう少し話したかったのだけれど、私が話すのを拒んだのだから仕方のないことだった。

それから、2人が戻ってきて、またダラダラして、爆笑できるギャグ番組を見て、スラムダンクの最終回をYOUTUBEで見て(笑)、夜の8時に予約したレストランに向かうことにした。

レストランでは、タコの料理や、ロブスターや巨大な牛肉ステーキなど、1人ではなかなか頼めない料理を4人で笑いながら食べた。

心を許せる人々との食事はこんなにも美味しいものなのか、とこの旅で初めて感じた感覚を感じることができた。

何故なら、カミーノにおいて、誰と食事をしようとも私が相手になかなか心を許すことが出来なかったので、その食事はただただ辛いものでしかなかったからだ。

すべては私の心の問題なのであるが、やっぱり心を許せる人間はどうしても限られてくる。

それはそれで、仕方のないことだと思った。

だって、誰にでも心を開けないわけでなく、こうやって心から信頼できる人間に出会いさえすれば、ちゃんと私は心を許せるのだということが分かったから。

無理に心を開く必要も、心を許す必要もないのだ。

そういう人間に出会えば、自動的にそうなるのだから。

美味しい料理に舌鼓を打った後、みんなで花火を見に行くことにした。

あんなに高そうな料理を食べて、飲んだにもかかわらず、お会計は1人あたり45ユーロ程度で済んだ。

そういう意味でも大勢で食べるというのは素晴らしい。

いろいろな料理を食べることが出来て、しかも安く済ませることが出来るからだ。

流石はスペイン。日没が10時ということもあって、花火の開始時刻はまさかの11時だ。

日没後の寒い中、花火を待つことにした。

そして、花火がスタートした。

日本の、1発1発をやや勿体ぶって打ち上げる花火とは違って、こちらの花火は、連射である。

もったいないという言葉が存在しないからか、スペイン人の特性なのかは知らないが、もう打って打って打ちまくれ!みたいな打ち上げ方である。

その打ち上げまくられた花火は非常に美しかった。

どんどん、どんどん打ち上がってくる色取り取りの花火。

毎回、形も違えば、色も違う、大きさも打ち上げられる場所も違う。

とても巨大な花束のブーケのような花火であった。

こんなに花火を綺麗だと思ったのは、たぶん生まれて初めてだった。

目が離せなくなる、それくらい、とても美しいものだった。

花火の最後は連続射撃みたいな勢いでものすごい量の花火が夜空に放たれた。

その光景はまるで夜空に色取り取りの星々が散りばめられたようだった。

花火が終わって、さあ帰ろうか!というところで、

Yさんの会社の同僚が友人を連れてきているということで、一緒に飲むことになった。

時間はもう夜中の12時である。

それでも、飲む!踊る!

それがスペイン流というものらしい。

私たちはクタクタのボロボロになりながらも、彼の友人たちと落ち合い、そこからまさかのクラブ巡りをしようということに。

お腹いっぱいの寝不足状態で繰り出すクラブというものは末恐ろしかったけれども、行ってみると、意外や意外、ものすごく楽しかった。

日本だったら踊るなんて…となってしまうところだったが、ここはスペイン、情熱の国である。

ダンスが上手いだの、下手だの言ってられない。

下手だろうが、上手かろうが、思いのままに踊りまくる!

それがスペイン流らしい。

クラブには町中の老若男女が集い、楽しく、笑いながら踊りまくっている。

私たちもなんとなーく踊っているフリをしていると、スペインのおばちゃんに捕まって、踊る羽目に。

最初はおっかなびっくりだったけれども、実際に踊ってみるととても楽しかった。

そして、飲んでは踊り、踊っては飲み、夜は更けていった。

ようやく3時を迎えたところで、みんなヘロヘロになり、ようやく解散、ということになった。

すごく楽しい経験だった。

でも、もう2度と寝不足状態でのクラブはごめんだと思った私であった…

 

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