Way to be HAPPY

Life is a Journey

カミーノ巡礼 29日目

29日目

Oribigo to El Ganso 30.2km

今日は夜中の4時に目が覚めた。

それ以上寝ていられなかったのである。

何故なら無数の虫たちが私の血を食らっていたようで、痒くて痒くて身体中を掻きむしりながら起きる、そんな感じで目が覚めた。

最悪である。

てっきりノミかダニかと思っていたのだけれど、「アルベルゲ 痒い」で検索すると、出てくる出てくる、南京中。

犯人はまさかの南京中であったのだ。

南京中とは、吸血する虫の中でも、一番痒みをもたらすと言われているキングオブ吸血虫なのだ。

誰かのブログや誰かの本に南京虫被害について書いてあったものの、「虫を寄せ付けないコクーンシート」をAmazonで購入してきた私とは無縁だとタカを括っていたのがまずかった。

コクーンシートの間に寝るべきものを、余裕をかましてその上に寝ていただけだったのだ。

きっと、ぴょーんと飛んできて、虫を寄せ付けない効果を無効化してしまったに違いなかった。

それにしても、ものすごい被害で、首からお腹、つま先まで満遍なくやられている。

合計50箇所以上の跡が残っていた。

ということは、だ。

50箇所以上がこれから順番に痒みによって私を悩ませるということと同意なのである。

これまたひどいことに、この南京虫、蚊のようにすぐ痒みが引いてくれるわけでもなく、むしろ2日目以降から恐ろしい痒みと腫れに苛まれるという。

南京虫の主な捕食者であるゴキブリさんのご登場をこれほどに願ったことは人生において皆無である。

というわけで、朝からひたすら全身に及ぶ痒みと寝不足と闘いながら歩く羽目になった。

南京虫が一度発生すると、ものすごい早さで繁殖すると言われている。

私の血を美味しく吸ったあとすぐに産卵体制に入るそうだ。

ということで、名誉と収入がすべて評判にかかっているアルベルゲ経営者としては、なんとしてでも南京虫をアルベルゲに入れるのを防ぎたいわけなのである。

昨日同じアルベルゲで知り合った韓国出身デンマーク在住デンマーク人気取り野郎(以下デンマーク野郎)が、
「次の街で南京虫を殺す方法を知ってるかアルベルゲに聞いてみよう。僕もヘルプするから。」
とありがた迷惑にも言ってきてくれて、私は断ることもできずにじゃあお願い、ということになったのであった。

何故なら、南京虫については触れずに泊まって、アルベルゲですべての衣類、シーツ、寝袋を消毒洗濯してしまおうと思っていたからね!

一体、どこの巡礼者が馬鹿正直に話すっていうんだ?

もし、そういう巡礼者居るのだとすれば、私が南京虫に噛まれることはなかったはずなんだけどね。

アルベルゲに潜伏している南京虫のほとんどは巡礼者が持ち帰ってくるんだというのが定説なのである。

そして、御多分に洩れず、南京虫を殺すのを手伝って?なんて言えば、南京虫保持者としてブラックリストに乗るとともに、追い出されるか又はハナから泊まらせてもらえなくなるのだ。

ということで、やはりまんまと断られた私。
(知ってたけどね)

そして、次の街まであと5km悲しく歩く羽目になった。

デンマーク野郎は、実際には何も手伝ってはくれず(笑)、私がアルベルゲのオーナーに交渉している最中に「じゃ!ブエンカミーノ!」と言って去っていった。

なんなんだよ、お前は。

という感じでいっぱいであった。

それから泣く泣くくそ暑い灼熱の太陽地獄の中約5km歩いて次の街に行く羽目に。

そしてようやく到着。

宿泊するアルベルゲが分かったら教えて欲しいと昨日の韓国人デイビッドさんに言われていたので、メッセンジャーにてご連絡。

どうしても、私と同じアルベルゲに滞在したいようだ。

そして、世話焼き巡礼者の方に言われていた通りに、全ての衣服を洗濯し、コクーンシートをもすべて洗濯。

バックパックは中身をすべて出して太陽のもとで熱による殺虫消毒。

そうして、ようやく安心することが出来たのである。

これで、心地よく一眠りできる。

そう思ったのであった。

もうこれ以上、南京虫などごめんであった。

それから、ブログを書くために、バルへビールをかっくらいに直行。

途中で到着したデイビッドさん達御一行に捕まらないように細心の注意を払いながら、彼らがシャワーを浴びてる隙に、さっと消えてみた。

どうやら、デイビッドさんは私のことを心底好きになってしまったようで、もう私を見る目がとろけている。

人から好かれるのは、別に問題ないが、そういう目で見つめられるのはちょっと勘弁願いたいところである。

すごくいい人だから、嫌いではないのだけれど、恋愛対象として見られるのは非常に…困る。

何故ならどう対応していいかまったくわからないからだ。

そして、バルでブログを書いていると、元夫より電話が。

8月中旬に大好きな野球チームの選手に合わせてくれるという。

何故なら彼の会社がそのチームのスポンサーになっているからだ。

今からすごくワクワクするニュースであった。

痒すぎて落ち込んでいた私は少し元気を取り戻した。

そして、アルベルゲに帰ると、例の韓国人が私を待ち構えていて、一緒にディナーはどうかと言う。

そこには、彼の友達と、アルベルゲで一緒になった可愛い韓国人の大学生(すごく良い子!)がいた。

そして、みんなで一緒に楽しくディナーということになった。

ワインを買ってきてくれていて、みんなで楽しく食べながら、ワインを飲むという素晴らしい時間を過ごせた。

ちょうどそこには、巡礼者の見本のようなおじいさんが1人一緒に座っていて、いろいろなフルーツを振舞ってくれた。

まるで、イエスキリストか!みたいな出で立ちのおじいさんは、ここ22年間、フルーツと野菜しか食べていないという。

にもかかわらず、ものすごく健康そうである。

むしろ、毎日このカミーノで40km近く歩いているというツワモノである。

奇跡としか言いようがなかった。

だって、炭水化物も、肉も魚も食べないのにも関わらず、私たちがヒーヒー言って歩いている道を笑顔で40km。

もう、奇跡と称してよろしい。という感じである。

おじいさんに、「え?それで大丈夫なんですか?」と聞くと、

「神と一緒に歩いているから大丈夫だよ。」

と帰ってきた。

おじいさん曰く、神と、ボディと、魂と一緒に歩くことにっよって、そこまで食べなくても何の問題もないのだという。

私も挑戦したい!といったところ、いや、お前は死ぬからやめとけと言われたのであった(笑)

だよねー。

そして、そのあとも、まだワインが残っていたのでみんなで酒盛りよろしく飲むことに。

途中で、韓国人のデビさんと私は一緒にタバコを吸いに行くことに。

彼の念願の2人きりというやつである。

そして、かなりプライベートな話を聞かれ、いろいろ話した。

「実は…俺…妻子がいるんだ。」

と打ち明けられた時には正直びっくりした。

(え、、、いなきゃおかしいでしょ!その歳でいなかったら何か変なんじゃないかって疑うわ!)

と内心思ったのはナイショw

でも、本当に申し訳なさそうに言うんだもの。

超テキトーにごまかした私であった。

良い人なんだけどね・・・

タバコの火はつけてくれるし、エスコートしてくれるし、皿はすべて代わりに洗ってくれるし、

すべてに、IT'S MY PREASURE.って言って。

なんて素晴らしいの韓国人!という感じであった。

そして、みんなで記念撮影をして、呑んだくれて、

気持ちよく眠りにつけた。

今日も楽しい1日であった。f:id:xphantasmagoriax:20160720041751j:imagef:id:xphantasmagoriax:20160720041816j:image