36日目
Palas de Rei to Arzua 28.7km
今日は朝6時40分くらいにホテルを出発。
未だに南京虫ポイントが痒くて私を悩ませている。
掻き毟ってしまった部分の皮膚はいったい綺麗に復活するのかもはや不明である。
世の中から南京虫を駆逐したい気分である。
そして、ホテルを出発して5分、ついつい昨日夕飯を食べたレストラン兼バルに立ち寄って、カフェコンレチェ(コーヒー)だけを頼むはずが、更についついパウンドケーキを頼んでしまった。
そのパウンドケーキは円型でショーケースの中に飾られていたのであるが、まさかそのサイズ感でカットするとは思いもしなかったビッグサイズにカットしてくれちゃって一瞬狼狽えた。
(こんなにデカイケーキは流石に高カロリー過ぎるし、残そう)
という心がけでスタートしてみたのだけれど、結局案の定ペロッといってしまった。
あんなにデカイくせにお値段は可愛らしかった。
カフェコンレチェ(大) 1.2ユーロ
ケーキ(これまた大)1ユーロである。
そして、若干の食べてしまった罪悪感を抱えた状態でバルを出た。
しかも、時間は既に7時半。
これからの道は、ヤングギャングたちが大騒ぎしている可能性が高い為、もっと早く出発すべきだったものを、こんな時間まで巨大ケーキと戦っていたことに、更に罪悪感を感じていた。
罪悪感のオンパレード状態である。
そして、バルを出てすぐの道の向こうに、巨大なカメラ(大きな集音マイクがついていた)を抱えて歩く日本人のような男性に遭遇。
一瞬目が合ったのだが、会釈する程度で終わらせた。
何故なら、罪悪感と焦燥感を抱えた状態で明るく話しかける気になれなかったからである。
そして、彼も会釈を返した。
彼は前を歩いて行ったので、少し離れて後ろから歩いていくことになったのだが、どうやら彼は前方に連れがいたようで、合流して何やら話している。
が、その「お連れ様」はどう見ても韓国人なのである。
そして、聞こえてくる音声はどう聞いても韓国語なのである。
どうやら私が日本人だと錯覚した人は、日本人に似た韓国人だったようだ。
先日の韓国人に愛を告白され、若干韓国人恐怖症みたいになってきていた私はなるべく車間距離ならず、人間距離を取るべくスピードを緩めて歩くことにした。
のだけれども、その時の彼らは撮影をおっぱじめてしまって、結局追いついてしまった。
そして、案の定話しかけられる。
(ちっ、また韓国語で話しかけてくるんだろ)
と若干ふてくされていたら、意外なことに英語で話しかけられた。
英語で話しかけるということは、なんというか敬意の表れのような気がしている。
人種を見た目で決めつけない。相手が自分の国籍を行ってからその国の言語で話す、それって敬意だと私は思っている。
だからこそ、開口一番韓国語で話しかけてくる奴らにイラッとするのである。
私は、相手が日本人に見えたとしても、まずは英語で話しかけるようにしている。
きっと今日の日本人にしか見えない韓国人というパターンだってこのカミーノでは少なからずあるのだから、私のこのかなり意固地な考えは強ち間違いでもないような気がする。
そして、私は英語で話しかけてくれた彼らに好意を感じた。
まあ、あとで聞いたら、十中八九韓国人だと思っていたと言われたんだけどね。笑
彼らは、ショートフィルムを制作するためにカミーノに来たと言う。
名前は、ミン(韓国語の発音が難しいのでミンでいいとのこと)と、ジョン(カソリックだかキリスト教で洗礼を受けると英語名をもらえるらしい)と言う。
背が大きい方がミンで、少しミンより低く、細めの方がジョンだ。
ミンはヒゲがもじゃもじゃしていて、デカイカメラを背負っているので、なんだか紛争地域に行くジャーナリストかカメラマンみたいな印象だった。
ジョンは、メガネをかけていて、いかにも韓国人みたいな顔をしている。THE真面目くん、という言葉がしっくりくる。ちょっと偏屈そう。
ちょっと挨拶して、サッと逃げ出そうと時期を伺っていたのだが、ミンが少し日本語を喋れるらしく、ついつい逃げ出す機会を失ってしまってダラダラ3人で歩くことになってしまった。
歩くスピードもだいたい一緒なので、抜かしても距離を開けることが出来ないような気がした。
2人とも、何故かニューヨークに長年住んでいて、ニューヨークからはるばるスペインまで来たそうだ。
なんだか韓国人って世界に羽ばたいている人多いんだなとひしひしと感じた。
先日のデイビッドさんは仕事でベトナムに、その相棒は、スペインで会社を経営しているし、その後に出会った若い韓国人はスペインに留学しているし、、、カミーノ上だけでも、挙げたらきりがない。
日本人と違ってものすごいバイタリティだと思う。
そうこうしているうちに、ミンはカメラを再び構え始め、ジョンを撮り始めた。
ジョンのインタビューをするという形式でフィルムを作っているらしく、もし私がそのフィルムに映っても問題なければ、私とジョンが話しているところを撮影したいと言われた。
まあ、良い人たちそうだし、良いかなと思ったので快諾した私であった。
つづく
(ここからが長いのだ)