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Way to be HAPPY

Life is a Journey

カミーノ巡礼 最終日

カミーノ巡礼

今は飛行機の中。

夢が終わってしまった。

私の心の休暇はもう終わりなのだ。

神様は最後に私に特別な素晴らしいプレゼントをくれた。

ミンと過ごした20日間は何にも変えられない特別な時間となった。

人生で初めて、人を愛したと感じた。

そして、その愛情は永くは続かなかった。

友人は、「愛は育むものだ」と言った。

本当にその通りだと思う。

20日間では、育めなかったのかもしれない。

それか、愛を育む気が私にはなかったのかもしれない。

そのどちらかなのかは今はまだ正直分からないけれど、

いつか、きっとわかる日が来るのだと思う。

私は日本へ帰る。

そして、日本に帰れば、この2ヶ月間のカミーノも、ミンのこともすべて夢であったように感じることであろう。

ヨーロッパで起きたすべてのことは、日本に帰れば、すべて現実味を失うのだ。

そんなことは正直分かりきっていた。

それが私の生き方であるから。

過ぎ去ったことはすべて、現実である今と切り離される。

思考の中でまた夢の世界を訪れることは出来る。

でも、夢の世界を現実に訪れない限り、それは一生夢でしかないのだ。

他の人の感じ方は知らないし、知りようがない。

その人に取って代わることはできないから。

それでも、私は私の感覚、感じ方を少なくとも今は愛している。

これでいいんだ。

これでいいんだ。

そう思っている。


今日は、朝方5時にミンに起こされて、バックパックの分別をして支度をしようと言われた。

私は、歯が痛くて痛くて、ペインキラーを2つも飲んだ。

そして、ミンはお腹が空いたと言った私に、韓国製の炸醤麺を即席ラーメンで器用に作って食べさせてくれた。

いつもいつもミンは私のために何かを作って用意してくれている。

私は、ミンと過ごし始めてから、食べ物に関しては何もしていない。

ただ、ミンが作ってくれる食べ物を食べさせてもらっている。

日本にいるときと反対である。

いや、正しくは、私の結婚生活の時と全く反対である。

離婚以降の男性たちはいつも私に蕎麦だのパスタだの何だかんだ作ってくれていた。

ミンは私のことをlazy(怠惰)girlだといつも言うけれど、まったくもってその通りだと思う。

相手がやらなければ、しょうがないので自分でやるけれども、相手が自ら進んでやってくれるとなると、私はまったくもって何かする気にはならない。

怠惰というよりも、相手次第なのである。

相手が私よりも怠惰だと判断すれば、私は怠惰をやめて、動き出すのだ。

相手が私よりもマメな人間だと判断するからこそ、怠惰になれる。

私はやっぱりそこでも、相手に合わせようとしてしまっているのかもしれない。

怠惰であることが特に私を心地よくさせることはない。

申し訳なさが増すだけだ。

なんだか、負債が日々溜まっていくような気がするので、あまり好きではない状態である。

それでも、相手が怠惰すぎて私が何かしてあげたとすると、それはそれで、相手がその負債を返さないことにイライラしてしまうので、どちらにせよ心理状態的にはまったくもってよろしくはない。

どちらにせよ内心イライラしてしまう私の考え方に問題があるのだと思う。

コミュニケーションは目下私の課題であるが、本当に難しい。

勉強よりも難しい。

習うより慣れろパターンはなかなかどうして、私にとっては難易度が高いのかもしれない。

そんなこんなで、炸醤麺を食べさせてもらって、私はシャワーを浴びて、支度をした。

そして、7時に出発した。

近くのマクドナルドに立ち寄って、カフェオレを2人で飲んだ。

1杯2.3ユーロ。

さすがパリである。日本よりも価格設定が高い。

そして、あまり美味しくはない。笑


それから40分ほどかけて、モンパルナス駅から空港まで電車で向かった。

空港に行くまでの片道切符を10ユーロで購入した。

ミンは、私を送った後、ホテルまで戻ってこなくてはならないので、ミンの帰りの分の切符も合わせて購入した。

合計30ユーロをカードで購入。

いつも思うのだけれど、どうしてもこういう時に気前良くしてしまうじぶんが恨めしい。

相手がお金に困っていると知るとついつい出してしまう癖が未だに抜けない。

私だって、もう社長夫人ではないし、お金持ちでもないのに、ね。

また稼げばいいやーとか訳の分からない将来への自信がそうさせるのか、只の浪費家なのか、もはやよくわからなくなってきている。

恐らく思いっきり後者であろうことは確かではあるけれど。

そして、お金を使えば使うほど、不安になってくる。

まさかの負のスパイラルである。

使えば使うほど、私は日本へと引き寄せられていく感覚を覚えるのであった。

私は、果たして日本以外の海外で、ヨーロッパで、スペインで、しかも地の果てと言われているフィニステーレで、生きていくことは出来るのであろうか。

そして、無事に空港に到着した。

二人で最後の1本のタバコを分け合って吸った。

きっとこれが私の最後のタバコとなるであろう。

ミンの最後のタバコになるかどうかは知らないけれど。

少なくとも、朝、マクドナルドでミンに言われたことは守ろうと思っている。

Don't be sick.
病気にならないこと。健康でいること。

Don't smoke.
タバコを吸わないこと。

Do exersize.
運動をすること。

Study English harder.
英語を勉強すること。

以上4つである。

ミンは思い出したように言い始めた。

それでも、私の心にはしっかり刻まれているし、忘れることはないと思う。

そして、しっかりそれらを守ろうと思っている。

私のために。


最後にミンと別れる時、ミンは意外とあっさりしていた。

私だけが、泣けないと思っていたのに、最後の最後で泣いた。

そして、バイバイ、とお別れをした。

ミンがどう感じているかは、私にはまったくもって読めなかった。

私は、ようやく一人になれて少しホッとしたのと、もうミンと会うことはないかもしれないという思いから、悲しくて、寂しくて、ミンの不在を非常に心細く思った。

出発まで、1時間ほどあったので、持ってきたパンを食べることにした。

ミンが私の為にスーパーで見つけ出してくれた「おばあさんブレッド」は、ミンが隣にいないと少しも美味しくなかった。

そして、私は定刻通り飛行機に乗り込み、飛行機は定刻通り出発した。