Way to be HAPPY

Life is a Journey

カミーノ巡礼 2日目

2日目。
to zubiri(行くはずじゃなかったけど)
朝5時半に例のごとく皆様のごそごそ音に起こされる。
足を寝袋の中で動かそうと思ったけれど、予想通りものすごい股関節の痛みに襲われる。
もはや今日は休みにしよう!だって股関節めちゃ痛いしね。
という言い訳を自分の中に見出して、サボり決定である。
まさかの2段ベット上段だった為、地上に降りるだけでも、いちいち股関節に激痛が走る。
「ぐっ・・・」
声にもならない変な声を出しながらベッドを下ってるやばいやつである。

1階までようやく下り(最悪なことに3階だった)、
アルベルゲのスタッフ的なおじさんに、
「股関節(辞書で調べた)がめちゃ痛くて、もう歩けない。山を登るなんてとんでもないくらい痛いんです。お医者さんにかかりたいんですけど。」
と伝える。
おじさんは、うーんと困った顔をして、
「この街には医者はいないんだよ。次の街にはお医者さんがいるんだけどね。そうだ!次の街まで荷物だけ送れるサービスがあるから、それをつかったらどうだい?」
という提案をしてくれた。
でもさ、それってさ、結局歩かなくちゃならなくない???
と私は困惑顔。痛いって言ってるやーん、みたいな。
どうせ荷物運んでくれるなら、もうちょっとデカくて重い荷物(私のことだけど)も、プラスアルファの料金で持ってってくんねーのかな根性である。
それとなーく、匂わせてみると、
「大丈夫!君なら歩けるよ!!」
と笑顔で返してくる。

そして、ここで私とおじさんのミスアンダースタンディングが生まれたのだった。

私はこの時点で、次の街とは、3キロ進んだ先にある街だと思っていた。
そんな距離さえ歩けないとかなり落ち込んでいたのだった。

出発の際、どうせなら、、、とステッキもバックパックと共に送ろうとしたら、例のおじさんが止めてきた。
「いや、これは絶対必要だから、持って行った方がいい。」
と断言された。
(3キロくらいステッキなくたって歩けるでしょ?)
と疑問に思いながらも、まあおじさんが言うなら・・・ということで、ステッキは持っていくことにした。

出発してから、後ろから声をかけられて、1日目のアルベルゲで一緒だった青年Y(30)と一緒に歩くことになった。
話しはじめてから、なんか話が合わないなーと思っていた。

私「わたし、今日はzubiriで終わりなんですー!」(意気揚々と)
青年Y「いやーzubiriって23キロも先だなんて今日もやばいねー」
私「3キロくらいだったら歩けるかなって!」(テヘペロ状態)
青年Y「何言ってんの?zubiriは23キロ先の街だけど。」
私「・・・。は???」

なんとなんと!3キロ先の街だと思っていた街の名前はzubiriではなかったのだった。
つまり、おじさんは、約23キロ先のzubiriについて話していて、私は、
3キロ先の街をzubiriだと思い混んでいたというまさかのヤバい状況が発覚したのだった。
冷や汗がマジで出てきた。
(私、こんなに股関節痛いのに23キロもこれから歩かなきゃいけないの!?)
もはやショックすぎて、うそでしょ!?うそでしょ!?と、それしか言えなかった。
思い込みって、恐ろしい。
というか、私の思い込みの威力は奇跡としか言いようがない。
なぜ、zubiriを3キロ先の街だと思い込んだんだ!?私!!

オロオロしている私に、青年Yは、
「いや、もうしょうがないっしょ!歩くしかないでしょ!」
と笑いながら答えてくる。
いやいや、笑い事じゃないってば・・・と思いながらも、もう私の主要な荷物のほとんどが入っているバックパックは否応なしに、次の街である、ついでに23キロも先であるzubiriに送られてしまっているので、もはや歩き続けるしか道はなかった。

マジかよ・・・である。

それでも、あのモンスターのような14キロバックパックが私の背中を占拠していないだけで、随分違った。
股関節は相変わらずかなりの激痛(特に登り坂で)が走っていたが、昨日よりはかなりマシだった。
歩きながら話すなんて出来ない、と思い込んでいた私は初日から人を遠ざけていたけれど、意外や意外、話しながら歩くって楽しい。

というのも、きっと青年Yとの話が意外と弾んだからかもしれない。
そして、このスペインで日本語を話しまくれるのも嬉しかった。
やっぱり言語って大事。通じる言語でのコミュニケーションってものすごく楽しいものなんだと、全く通じないスペイン語圏とフランス語圏で2日過ごしてきた私は痛切に感じた。

語学の話から、マリファナの話、最終的には何故か日本史について7時間ひたすら話し合っていた。
日本にいた頃でも話が尽きない相手を見つけるのは意外と難しかったのに、遠く離れたスペインの地で出会えるとは不思議だ。
かといって、カミーノの定番の恋愛話に突入することはない。(先に言っておくが)
青年Yも私を面白い日本人女性としか思っていないし、私も面白い日本人男性(理系)としか思っていなかったからだ。
その前提があるからこそ、安心して話し合えたのだろうと思う。
あっという間に7時間が過ぎた。

青年Yは、イギリスに半年留学して英語を習得したにも関わらず、何故か英語をほとんど使うことのないスペインに出向しているそうだ。
まずそこが意味が分からなすぎて面白い。
そして、今の目下の目標はスペイン語を話せるようになることらしい。
何故なら、日本の会社の支社であるスペインの会社内では、喋れる癖に英語ではなく、スペイン語でひたすら話されるからだそう。
自由な国、スペインである。
彼らは、定時になったら仕事が終わってようと、いまいと関係なく帰っていく・・・素晴らしい国民性である。
青年Y 曰く、「スペイン人にストレスは殆んどないよ。」である。

スペイン語での乾杯は、「サルー」
そして、サルーの意味は、「健康」だそう。
最初は何というギャグ!と思ったけれど、話を聞いているうちに思い直した。
スペイン人にとって、酒は健康のもと、なのかもしれない。
もともとストレスのない生活を送っている彼らは、お酒を無理に飲みすぎることもなく、楽しく飲んでいる。街に繰り出せば、彼らは例外なくみんな笑顔だ。日本みたいに「上司のヤローがよう」とか言っているような雰囲気は全くもってない。酒を、会話を、食を、心から楽しんでいるように見える。
きっと、問題なのはアルコールではなくて、社会ストレスそのものなのだろうなと思った。

この国は、日本よりも長寿の人がさぞかし多いことだろうよ。(知らないけど)

結局、恐れていた股関節は、、、(書きかけ)