Way to be HAPPY

Life is a Journey

カミーノ巡礼 37日目

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今日は、5時45分にミンに起こされた。

優しく肩を揺すられて。

今日は、痒みで起こされることもなく、ぐっすり眠れていたようだ。

全くもって夢も覚えていないし、気持ちのいい感覚と共に目覚めることができた。

ミンは、もう出発するからとお別れを言いに、起こしてくれたようだ。

って、寝顔見られちゃってるどころか、スッピンさえも見られちゃってるし、目が覚めて若干焦ったけれど、まだ朝日は昇っていなかったので部屋は薄暗く、おそらく大丈夫だったように思う。

ところが、目覚めて、もう行くから挨拶に…と手を差し出して握手してきたミンの手を握りしめたまま、更に寝てしまったらしく、もう一度優しく起こされた時に、かなり焦った。

この癖は、気に入った男性(又は元夫)によくしていた悪癖である。

Oh, my...

という感じであった。

そりゃあ相手も勘違いして然るべきである。

なんということをしてしまったのか、、、とミンが出て行った後に自己嫌悪に陥った私であった。

しかし、今日は彼らは先に行ってくれたので、ようやく1人で物想いに耽ることが出来ると若干安心した。

支度を済ませ、出発したのは6時半。

まだ薄暗い中を、朝ごはんを食べる場所が無かったので大量のフルーツ(チェリー1kg、もも6個。笑)をバックパックに背負いながらのスタート。

今日は、明日にサンティアゴへ着いてしまうので、やや緩めのスケジュール(25kmくらい)の感じでスタートすることができた。

と思っていたが、1つ目の街で休憩しようと思いバルへ行くと、ミン達が朝ごはんを食べているところに遭遇してしまった。

めちゃめちゃ嬉しそうなミンの笑顔を見ると、私もつい笑顔になってしまった。

そして、これから彼は、ジョンのインタビューをするから歩みが遅くなるので、追いついてくるのを待ってるね!と嬉しそうに再び歩き出して行った。

彼の笑顔はとてもキュートでついついこちらも笑顔になってしまうのであった。

そして、やはり途中で彼らがインタビューの撮影をしているところへ遭遇。

結局、そこから最後まで一緒に行くことになった。

今日も例のごとく、巻ききれなかった…

人と歩いていると、自分のペースを保てないので、人と一緒に終始歩くのはあまり好まないのだが、もうあと4日しか歩かないと思うとまあいい経験かとも思う私もいた。

そして、3人で歩んでいくこと数時間。

ちょうどいい休憩場所を見つけたので、私の持ってきたフルーツを食べてもらう(荷物の重さを減らしたかったの)為に、休憩することにした。

そこで、ミンが水を汲んでいる最中に私も桃を洗う為に行くと、

「I was very boring. I missed you.」

(とっても退屈だったよ。君が恋しかった。)良い風に訳すとね。

と言われて、タジタジになる私。

若干昨日の事件から彼のことが気になりだしていた+今朝のミステイク事件、があったので、更に顔面真っ赤になりそうな心境に。

それでも、ポーカーフェイス気取りの私は彼の好意に全く気づいていないふりをして、笑い飛ばすことにした。

ごめんね、ミン。

それでも、そのI missed youは後々まで私の心を揺さぶり続けたのであった。

3人で日本の映画の話になった。

ジョゼと虎と魚たち、という映画についてミンが話し始めて、

日本人であるのに全く内容を知らなかった私はミンに英語で教えてもらった。

そして、それがラブストーリーの一種だと知ると私は、

「私はラブストーリーは全く見ない。見たくないから。」

とついつい本音を漏らしてしまい、

どうして?とジョンに聞かれる羽目になった。

そこで、

「そんなラブストーリーは絶対に(NEVER)私の世界には存在し得ないから。」

と答えるとミンは、

「NEVER SAY NEVER.」 (絶対ないなんて絶対言うな)

と言ってきた。

朝の事件の後にそれはないよね、確かに…と思った私なのであった。

それから、ミンは口数がやたらと少なくなり、ひたすら南京中被害を訴えるだけになった。

ミンとジョンさんが韓国語でずっと話をしていたのだが、悲しいことに
1つの単語でさえ、私には理解することができなかった。

スペイン語に次いで、韓国語も話せたら…と思い始める私なのであった。

私も、彼らの会話に参加したいし、それが叶わなくとも、盗み聞きくらいはしたいのである。

そして、お腹が減ったので、3人でランチを取ることにした。

ジョンさんは食通なのか、毎度毎度いろいろな「レストラン(バルじゃない)」でペリグリノメニュー(お店によって違うのだそうだ)を食べようとする。

そして、私も御多分に洩れず、同じような高カロリーメニューをオーダーし平らげる羽目になる。

でも、みんなで食べるとやはり美味しいとは思う。

そこで、ジョンがお会計をしている最中に、ミンと2人きりになり、

「今日はホテルに泊まろう。ダブルルームでもなんでも良いから。僕たちは全て荷物を選択する必要がある。」

と言われて、若干ドキドキしちゃう私がいた。笑

それからの歩きは、午後になったのでものすごいスペインの太陽の日差しにほとんど殺されそうになりながらも、心の中でミンと同じホテルに宿泊している私について考えて、キャ〜ってなりながら、ほとんど干上がっていた。

だがしかし、ジョンは、

「WE ARE GOING TO GO FURTHER.」
(俺たちはもっと先に行くつもりだ)

と言う。

まあ、どっちでも良いけど、と半ば若干残念に思いながらもそこは天任せで良いやと思う私がいた。

何故なら、日本では元夫が首を長くして私を待っているからであった。

元夫は、先日2人で見に行ったマンション(最上階で所謂億ション)を購入しようか決めかねていた。

私がもし、彼とずっと一緒にいるのであれば、彼は購入するつもりだという。

私はそのつもりだという意向を遠回しに伝えてあったので、きっと彼は売買契約書に既にサインをしているだろうと思う。

そして、ここまで来るともはや私は責任を感じてNOなどとは言えない。

と思っていた。

でも、歩きながらいろいろ自分のこれからの人生の選択肢を考えるにあたって、それって本当に「自由」な人生のなのか?という疑問が湧いてくるのであった。

元夫のところに戻ったとして、それは本当に私の「自由意志」なのだろうか?

彼の保護が無くなる事を恐れている、ただそれだけなんじゃないのか?

そういう疑問が浮かび上がってくるのだ。

それでも、私の気持ちは日によってかなり変動する。

そして、その変動は私という人格の所有者である私自身にもまったくもって読めない。

NOBODEY KNOWS?

誰も知らない。

神のみぞ知る。

それだけなのである。

なので、私は私の思考を放っておくことにした。

きっと、その時が来たら自ずと分かるであろう。

今、考えても答えなど出ないのだ、と割り切ることにした。

ミンは、どうやら韓国語でしきりに、「もうダメだ…もう先に進めない」

と愚痴っていたようで、それはジョンがこっそり教えてくれた。

私は、それを私と同じ街に、あわよくば私と同じホテルににステイしたい言い訳だと踏んでいた。

だがしかし、結局午後4時に私の目的地である街に着いて、実は本当に彼は「もうダメだった」のではないかという疑問に変わった。

本当に辛そうであったのだ。

そして、それは南京中に身体中やられた私は痛いほど理解出来た。

別に私とステイしたい訳じゃなかったんだ。

そして、私たちは3人とも別々の部屋に泊まった。

ミンはそれからしばらくかなりよそよそしくなった。

きっと痒さにやられてしまったのかもしれない、と私は楽観的に考えていたけれど、実際はそうじゃなかった。

私が、洗濯物を乾燥機にかけて、ホテル内のバルでビールを飲みながら日記を書いていたら、ミンが引き続き、不機嫌な顔でやってきた。

そして、私の座っている席の前に座るやいなや、

「Please tell me, what did I do to you?」

(教えて欲しいんだけど、俺、なんかした?)

と言われた。

私が、えっ・・・となってまごまごしていると、更にまくしたてて来た。

「何か君にとって俺が嫌なことをしたなら謝る。で、俺、何かした?」

と、真剣な顔で聞かれた。

私は、何も答えられなくて、なんでそう思うの?と聞き返してしまった。

ミンは、「君の態度でわかる。一度も俺と目を合わそうとしなかったし、道中ずっと俺を避けていたでしょ?」といってきた。

まさにその通りだった。

私は、さっきの I miss you.攻撃に耐えられなくなってそれからずっとミンを避けていた。

それでも、気づかれないように避けていたつもりだった。

ちなみに、この手の方法で私が相手を避けていることに気づいたのは正直なところ、ミンが初めてだった。

正しくは、相手は今まで気づいていたかもしれないけれど、私に直接聞いてくる勇気はなかった、ということかもしれないけれど。

それをミンは堂々と越えてきた。私が越えてきてほしくないボーダーラインを。

私は本当にどう答えていいものか悩んだのだった。

というよりも、聞かれるまで、何故自分がそういう行動をとっていたのか考えてもみなかった。

今まできっと私はそういう態度を自動的にしていたのだと思う。

相手が自分に好意を持っていると薄々(というか今回は分かりきっていた)分かってくると、そういうゴタゴタに巻き込まれる前に、すたこらさっさと逃げ出す、そういうクセが私にはあったのだと思う。

そう、私は、たぶん彼に恋愛としての好意を抱きたくなかったのだ。

そして、そこに踏み込むことを極端に恐れていた。

恋愛なんてただひたすらに相手を傷つけるか、自分が傷つけられるものだとずっと思ってきたからだと思う。

そして、私は、こんな異国の地で、異国の相手と恋愛をするためにカミーノに来たのではなかったのだから。

私は、もう答えなければならないギリギリのラインまで追い詰められて、諦めて白状した。

「I was afraid of falling love with you.」

彼は、どうしてそれを恐れるんだと聞いてきたけれど、私にはその理由は答えられなかった。

英語でも、日本語でも。

そんな時に、ジョンがやってきて、ディナー食べるぞ〜!と言い出した。

なんという助け舟。

その助け舟に私はさっさと乗り込んだのであった。

本当に、本当に。

何言っちゃってんだろ、私。って思った。