Way to be HAPPY

Life is a Journey

友人

考えてみれば、今の私には友達と呼べる存在が片手にも満たない数しかいない。

しかし、それで後悔や不満を感じたことは一度もなかったし、今もない。

今日は私の唯一の友達の話をしたいと思う。

彼女は、同じ歳で、大学で同じクラスだった。

最初の出会いは、英語の授業。

当時彼女は金髪で、化粧が濃く、当時でいうギャルだった。

そういう存在に憧れを感じるすべを持たない私が、
彼女だけには惹かれた。

彼女は、英語の授業で大幅に遅刻してきたくせに、
英語で言い訳をみんなが見ている前でし始めたのだった。

私はきっと私にないものがある人に憧れを感じたのかもしれない。

ああ、すげーなこいつ。
と心から感心したのを今でも覚えている。

金髪で厚化粧。
私が求める人物像ではなかったはずなのに。

それでも、彼女に惹かれた。

今振り返ってみても、自分から話しかけて、友達になってほしいと
そんな恥ずかしいことを言ったのは後にも先にも彼女だけなのだ。

そして、それ以外はどうでもよかった。
もちろん、友達になってくださいと言ってくれる人はいた。
でも、私が何かを持っているだろうという期待を感じ取ってしまうたびに、
いやー何もねえーーーーと自分から避けてしまっていた。

そんな中、彼女だけは特別だった。

当時、私の部屋はひどく散らかっていて、よく彼女が掃除してくれていた。

彼女とグアムに行った。
そして、私が全てアレンジしたホテルに彼女がちょっとした文句を言ったことがあった。

私は、今でもそうだけれど、知り合いに知っている人の文句をいうことは恥ずかしいと思っているので、
誰にも言えない。

はけ口がない。

だから、日記を書いていた。

誰にも読まれない前提で書いていた。

彼女のそのグアム事件のことも書いていた。

「だったら、自分でアレンジすればよかったのに」

確か、そう書いていた。

掃除をしている時、本棚からたまたま私の日記帳が落ちたらしい。

そして、そのページを読んでしまったらしい。

たまたまであろうがなかろうが、そこは問題ではないのだけれど、
彼女は数分後に、かしこまって、あのさ・・・
と切り出したのだ。

知っていて、言わないのも何だか嫌だから言わせてもらうね、って。

「ごめん、あなたの日記読んでしまった。」

とただそれだけ。

私は全てを理解した。

彼女が目の前で私にゲロっている、
ということは、ああ、あの箇所を読んだのだな、と。

彼女もそのつもりで言っていたのだろう。

私はそれを聞いてどう思ったか。

ああ・・・得難い人を得た。

心からそう思ったのだ。

だから、今も彼女は私の友達であり、
よき理解者であり、なくてはならない存在だ。

毎回遅刻してくることも、
毎回彼女に文句は言うものの、
それでも、心の底から信頼しているのは、
あの事件があったからかもしれない。

心に違和感を抱えたまま、付きあうなんて私にはできない。

そして、彼女にもそれはできない、
と言うことを身を以て示してくれたからこそ、
今、私たちは一緒にいるのかもしれない。

そんな彼女が、大好きだ。

本当に得難い人を得たと、
十数年経った今、
色々な経験をして、
心から思う。

彼女もそう思ってくれていたなら、
こんな嬉しいことはない。