私は鳥が好きだ。
何故か昔から鳥が好きだった。
好きで好きでたまらないほどに好きだ。
可愛いインコだけでなく、カラスや鷹や鳩もなんでも好きだ。
ついでに言えばドラゴンも好きだ。
あのおぼつかない2本足に比べて大きすぎるくらいの羽を上半身に抱えて、
ヨタヨタ歩いている姿を見ると愛おしくてたまらない。
空を飛んでいるときも。
きっと自分に重ね合わせているのかもしれない。
なぜ、空を飛んでいる時よりも、地面でヨタヨタ歩いている姿を愛してしまうのか。
飛べるのに飛べない自分、という日本語崩壊しているような表現だけれども、
それが私だと認識しているからかもしれない。
本当は飛べるけど、飛ばないだけかもしれないのに。
ここ数日、ようやく油画への呪縛が解けたのか、また描き始めている。
今度は、愛鳥のオカメインコを。
もし、あの時、違う男の飼っている犬を描かなかったら、
夫は犬の目に鉛筆を刺すことを止めただろうか。
あの時から、油画を描くことが怖くなった。
乱雑に荒らされた部屋。
ひっくり返った本棚。
真っ二つに割られたパソコン。
その部屋で漂う油画の絵の具の匂い。
その全てが私を油画から遠ざけていた。
油画を習ったことはない。
特段美術が好きだった訳でも、得意だった訳でもない。
それでも、何故か昔から憧れていた油画。
描きたくて描きたくて、道具は全て揃えていたというのに、
全然手が出せなかった。
油画の好きなところは、
色を塗り重ねていけること。
そして、重ねれば重ねるほど、色合いに味が出てくること。
気に入らなければ、なんども削ぎ落として、描き直せるところ。
つまるところ、それは私が人生というものに求めていた全てなのかもしれない。
まだ下絵から色を塗り始めて2日目。
キャンバスの上で、私の手によって、私の好きなように、
私の好きなものを創造できる喜びは、想像していた以上に大きかった。
そして、それと同じことをこれから人生で体現していくのだろうと思う。